私が日本山人参に出会ったのは、およそ40年前。宮崎の小林市で造園業を営み、組合の役員をしていた頃
組合員のクロキさんが、粉にした日本山人参をもってきた。
あちこち行って、色んな人と出会っているけど、そんなものがあるとは初めて聞いた。
いやいや「そげなもんあるか!!」冗談半分だと思って、受け取った。
でも、せっかく持ってく来てくれたし、飲んでみるか…。
そうして、友人のキクマさんにその粉をすべて渡した。
10日後、キクマさんが…。
そうして、後日。
ん~~。それなら私の手で、なんとか日本山人参を栽培できないだろうか。まさかと思ったが、世の中には不思議なことがあるもんだなあ。
早速、育種家である松永一(はじめ)氏に、日本山人参を預けた。植物と言葉を交わすことができ、白く伸びたあごひげはまるで仙人のよう。
松永氏と宮崎大学の教授が成分を分析した結果…。
それから、成分を統一するために年月を要した。
種をまき、育て、花を咲かせ、種を取る。そして、いいものだけを残し、そしてまた種をまく。そのくりかえし…。
株を預けてから10年。やっと成分が統一され、より高い成分の日本山人参が育った。
歳月と願いをかけたよりすぐりの株を松永仙人から受け取って
私は孫を抱くようにして、その株を自宅へと運んだのだった。
仕事であちこち飛び回り、いろんなところに行ったが、やはり故郷には特別な思いがある。
自宅の横の畑の一角に、10メートルほどの背丈の桂皮の木がある。いつ植えられたのかわからないが、子どもの頃にはすでに木登りができた。
お菓子なんぞしゃれたものが何もない時代。樹皮をおやつがわりにかじったものだった。
一株の日本山人参を、その桂皮の木の根元に植えた。自生する日本山人参は、天照石の力を吸い取って育つ。一株の日本山人参を自生している山人参と同じように。私は株を囲むように、山から切り出した、黒くごつごつした天照石をおいた。
人も植物も育つ環境が大事やね。何とか育ってくれよ! ここを「山人参の聖地」と名付けた